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2010/09/07
Vol.205  CBP (税関国境警備局)によるカナダとの国境警備体制は適切か その4

これまで、カナダとの国境付近における最近の政府による国境警備の実態について、Seattlepi.comからの興味深い記事の内容を紹介してまいりました。今回はいくつか事例を抜粋し現状を紹介いたします。

ワシントン州Forks市で最近、国境警備員により2人の高校生が国境警備員により身柄を拘束されました。二人は卒業生総代、そしてレスリングチームのエースということもあり、メキシコに強制送還されないよう何千人にもの地域住民がアピールの集会に集まりましたが、結局強制送還を余儀なくされました。

あるエクアドル人(22歳)の事例を紹介します。彼は9年間アメリカで生活してきており、お父さんが医療器具の配送の仕事で国境南の国道87号線の検問所で身柄を拘束されたことで、お父さんのエクアドルへの強制送還を目の当たりにしました。お父さんは観光ビザでアメリカ入国後、数年間不法滞在が続いていたということです。お父さんの強制送還後、彼のアメリカでの生活は一変し、借金だけが残りました。なおアメリカに残された家族の半分は合法的にアメリカに滞在しています。

次にカナダへの移住を希望する家族のカナダ移住を支援する在バッファローの支援団体VIVEのエグゼクティブであるブライアン氏による話を事例として紹介します。それによると、2008年の1年間、カナダ移住のため、カナダで移民審査官との面接を待っている間、国境警備員やICE(移民税関執行局)のいずれかによって逮捕されたケースが20から40家族程あったということです。つまり、それら政府職員は自主的にアメリカから出国しようとカナダへの移民申請プロセスの最中にある人達の身柄を拘束している実態があるのです。一方で国境警備局員のCotsworth氏の見解では、カナダでの書類申請など一切関係なく、全ての人を平等に取り締まっているということです。ただ彼らの活動の源は我々が支払っている税金であることは言うまでもなく、それら使い道については未だ疑問が残ることは否めません。

最後の事例ですが、ある日、バーモントで雪道を歩いていたVicknell氏とその妻が、木陰から突然現れた国境警備局員に銃を向けられ、立ち止まるよう指示されたそうです。警備員は当時、麻薬所持者やその密輸者の取り締まりのために国境付近を警備しており、二人に身元確認を迫ったそうです。その時の恐ろしい心境をVicknell氏は生々しく語っていました。

専門家の多くは移民法システムが改善されない限り、このまま社会に対して脅威とならない人達に対する取締りや逮捕が集中して続けるだろうと予想しています。ある匿名の国境警備職員も、社会に脅威とならない人達には合法的なステータスを与え、より効果的な国境警備策を講じるべきであると述べています。

このようにいくつか事例や各関係者の見解を抜粋し紹介しましたが、現在の国境警備に対する政府による施策、及びその大義名分に対しては議論の分かれるところであり、実際社会にとって脅威とはならない不法移民に対する対策についても大きく議論が分かれます。そのような中、現政府の国境警備強化は引き続き行われており、皆さんも不意に道端や公共の乗り物の中で国境警備局員より身元確認を求められることがあるかもしれません。
弁護士 デビッド・シンデル
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