 コンサルタントに聞く
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日系IT業界の動向を探る!
                        
President & CEO
高津 眞氏
IT 産業の現状と求職状況
                IT産業が注目され始め、コンピューター産業が急成長したのが80年代。90年代は、ソフト、ハード双方において、
                IT産業の絶頂期、成熟期であり、ITは、社会活性化の原動力、他産業の成長をも促進するリーダー産業として、
                時代を引っ張っていきました。しかし、2000年に入り、IT産業はあるレベルまで到達し、産業自体が時代を形成し、
                先導していく、という力を失っていきました。特に2000年末から2001年の初期にかけてのドットコム・バブルの崩壊、
                さらに、同年に起こった同時テロによって、IT産業が大打撃を受けたのは言うまでもありません。そして現在は
                イラク問題の脅威にさらされ、どの企業も様子をうかがっている状況です。よって、求人件数も減り、
                求職者にとっては厳しい状況といえるでしょう。企業も新規事業への着手に慎重になっていますから、
                空いたポジションを埋める、といった形での求人が目立ち、特に契約社員の採用が減少してきています。どのような職種や人材が求められているか
                技術の進化に伴い、OS機能が進歩し、コンピューターの設置やネットワーキングのプロセスも簡素化されてきました。
                よって、以前は求職件数が多かった中堅レベルのネットワーク・エンジニアなどの求職件数が減少してきています。
                一方で、セキュリティーやインフラなど、専門知識のあるシニア・ネットワーク・エンジニアなどへの需要はまだあります。 知識と経験を身につけた即戦力のある優秀な人材が求められているのは間違いないでしょう。一方、新卒者については、 「学位を取得し、この技術を勉強しました」といったアプローチでは、なかなか採用者の心を動かせません。例えば 「私はこういうプログラミングが得意で、実際にこういうプロジェクトを開発してみた」「プログラミング・フォーラムに こういう内容を投稿している」といった、学業から一歩進んだ実践的な能力をアピールする姿勢が問われてきています。
さらに、今後、ITが他のあらゆる産業の基盤となり、広範囲にわたっていくに従い、「IT+専門性」が、就職における重要な 鍵となっていくでしょう。例えば、ITに「ファイナンシャル」や「エレクトリカル・エンジニアリング」、「メディカル」と いったアプリケーションを組み合わせるなど、ITの知識や経験に「専門性」をプラスした、時代のニーズに適格に応えられる 人材が求めらてきています。
IT系企業への就職に役立つスキルや資格
                IT産業と言っても、その職種は多岐にわたり、各ポジションで必要とされるスキルや資格も異なります。
                ですから一言では語れませんが、コンピューター言語で言えばJAVA、C、C++ 、Visual Basicなどの要求度は
                高いです。XMLの需要も増えてきました。データーベース・プラットフォームでは Oracle やSQLが中心で、
                OSについてはWindowsはもちろんですが、Linuxの需要も増えてきています。
                技術的なスキルがベースにある一方で、対人スキルも不可欠です。近年では、企業のグローバリゼーションに伴い、 海外、特にアジア諸国の、低賃金で優秀な技術者に開発業務を委託する、というケースも増えてきています。よって、 机上の業務だけではなく、顧客やスタッフとのふれあいや 対話が多い、「セールス・エンジニア」や「テクニカル・サポート」と いった職種での求人が目立ってきています。スムーズでプロフェッショナルなコミュニケーション・スキルは必須ですね。
MCP, MCSE, CCNAなどの資格を持っていると就職に有利?
                もちろんあればプラスにはなりますが、これら資格の所有者は増大してきており、以前のように、資格の取得が就職を保証する、
                という状況ではなくなってきています。求職者へのアドバイス
                就職にあたって、まず企業は面接をしますよね。スキルや経験はもちろん大切ですが、採用者は、まずその人の人格を見て、
                「この人と一緒に仕事がしたいか」という自問をします。つまり、ベーシックな人間性が重視されるわけです。
                はきはきと自分の意見が言える。明るく前向きに物事をとらえる。他人の話をきちんと聞ける … 。こういう人はやはり
                採用されやすい。これはIT産業に限らず、いつの時代も、どの産業においても言えることかもしれません。今後のIT産業の動きについて
                今後、ITは、バイオ、メディカル、ナノテクノロジー、ニュー・エンタテインメントといった有望分野での新技術や
                新商品にうまく合体し、その中から次世代を誘導するリーダー産業が誕生していくであろうと期待しています。
                現在は情勢が不安定ですから、企業も足踏み状態です。しかし、景気が上向きに動いていけば、IT産業が急激に
                動き出すということも考えられます。何といっても、ITは、あらゆる産業の基盤であり、必要不可欠な産業ですからね。
                提供:ProX J  
            
