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2004/11/29
Vol.73  H-1BビザおよびLビザに関する法律改正について

今週、主にL-1ビザ及びH-1bビザの移民法改正に関するニュースが飛び込んできました。今回のニュースの中には多少好ましい内容もありますが、全体的に米国の就労ビザを取得しようと考えている人にとってはたいへん厳しいものとなっております。そのニュースによると今週末、米国議会が下記に述べるH-1bビザ及びLビザに関する改正規定を含んだ包括歳出予算案を通過させ、ブッシュ大統領が12月初旬にはその議案に署名するであろうという内容が盛り込まれています。それらビザに関する法律の具体的変更内容は次の通りです。
L-1非移民ビザについて
L-1bビザ保持者が先会社と異なる職場で就労する際の制限については多くの議論があります。今回の改正案では次に述べる条件にあてはまる場合、L-1bビザは適用されないと明記されています。

(1)   関連会社ではない雇用主によってそのL-1b保持者が管理そして監督される場合。

(2)   第三者の職場に対するL-1Bビザ保持者の派遣の場合、つまりL-1bビザ保持者を配属させることがLビザスポンサーの専門的知識を含むサービスや商品の提供と関連した配属というよりむしろ労働力を提供するための配属の一環である場合。

上記の法律改正案は実際に法律が施行された日から、提出された新規、延長、及び改正の申請に対して適用されます。

これまではブランケットL-1ビザの条件を満たすためにはL-1ビザ受益者が過去3年間のうち少なくとも連続して6ヶ月間米国以外の関連会社にて重役・管理職もしくは専門知識がある職員として職務経験があれば良かったのですが、今回の改正案では同期間のうち最低1年以上の職務経験があることを証明しなくてはならなくなりました。(ブランケットL-1取得の条件を満たす企業とは3ヶ所以上の関係会社をもつ場合で、過去12ヶ月の間に少なくとも10人のL-1ビザ社員を米国に転勤させているか、もしくは米国内にて2500万ドル以上の売上がある場合、又は1,000人以上のアメリカ人従業員を雇用している場合など、様々な条件があります。)
H-1B非移民ビザについて
今回の法律改定案の中でもH-1bビザの改定が最も衝撃的なものとなりました。その概要は次のとおりです。

(1) H-1b外国人労働者を雇用する代わりにアメリカ人従業員を解雇しないということを証明しなければならない。

(2) H-1bの申請費用が1,500ドルとなる。ただしスポンサーとなる会社の米国内におけるフルタイムの従業員が25人未満の場合、申請費用は半額の750ドルとなります。

*この新しい申請費用は今年12月初めにブッシュ大統領が署名を行った後すぐに適用されることとなります。もしあなたが現在H-1B申請を考えているとすれば、この新しい申請費用が適用される前に申請を行うのが賢明でしょう。

(3) これまで雇用主はH-1B申請の際、ビザ受益者が就労する地域、当該職種に応じてPrevailing Wage(平均相場賃金)の95%以上を支払う必要がありましたが、法律改定後はその100%の支払いが要求されます。さらに今までは平均相場賃金が2つしかありませんでしたが、労働局によってさらに2つの賃金データが加算される。
労働省の調査権限について
(1)   労働省による雇用主に対する調査権限が復活する。これは雇用主がこの労働省の調査権限に関する条項に従わない正当な理由がある場合に適用され、それは今後永続的に持続する。労働長官は個人的見解をもとにその正当な理由が存在することを認証すると同時にその調査自体を認可しなければならない。ただしその調査は雇用主側の明確な間違いや不十分な情報に対しては行われない。

(2)   調査対象となる雇用主の業務内容や経営状況の情報等が信頼できる情報源から労働省が入手した場合においてのみ調査が実施される。

(3)   雇用主に対し、調査基準となる情報提供の手順を作るよう労働省に指示する。

(4)   (2)事項をもとにした調査は労働省又は労働省が他の調査より合法的に入手したもの以外の情報源から得られた情報がもとでなければならない。

(5)   H-1b申請に使用したLCAなど雇用主により労働省に対して提供された情報は正式な情報として見なされない。

(6)   雇用主による情報違反が発覚してから12ヶ月以降に情報が受け付けられない場合、いかなる調査もそれに関連した意見聴取も行われない。

(7)   限られた例外をもとに調査を開始する場合はその旨を事前に雇用主に対し通達するよう労働省に指示する。

(8)   労働省による調査は60日間とし、もし違反行為の根拠があれば労働省は雇用主に対して意見聴取決定の通知を送る。その意見聴取は決定から120日以内に行わなければならず、根拠の確認事項は意見聴取から120日以内に明確にされなければならない。

この条項を見る限り、今後労働省は違反の疑いのある雇用主に対する制限が多くなり、動きがとりにくくなるという感じを受けます。またここでは雇用主が必要事項を満たすために技術上または手続き上の違反があったにもかかわらず、その必要事項に従うという誠意を示せばそれは許されることにもなります。ただし、ある雇用主が労働省により違反の疑いをかけられ、違反の正当な理由説明を求められるか又は違反そのものの修正の猶予期間を与えられたにもかかわらず無視するようなことがあれば罰則が与えられることとなるでしょう。

さらに重要なことは、計算された平均相場賃金が業界の基準と一致するということが証明できればスポンサーとなる雇用主はその平均相場賃金の誤った算出に対して一切のペナルティーや罰金も課せられないということも盛り込まれています。
その他今後ビザ申請に対して必要とされる申請費用
詐欺行為防止のため500ドルが各申請毎に必要となります。この費用は他に必要とされる申請費用以外に追加で支払うこととなります。その対象は新規H-1B、Lビザの申請に対して適用されます。さらにこの費用は外国からブランケットLビザにて申請する際にも必要となります。ただしこの費用はビザ受益者の家族のビザ申請には適用されません。この新しい申請費用も12月上旬にブッシュ大統領が署名した後直ちに適用されることとなっています。
H-1B非移民ビザの年間上限枠の対象外となる新しいH-1b枠
アメリカ国内にある教育機関で修士号またはそれ以上の学位を取得した外国人はH-1Bの年間上限枠から除外される(現在の年間上限枠は65,000件)。この新しい特別H-1B年間枠は20,000件で、その施行は法律制定から90日後となります。
弁護士 デビッド・シンデル
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