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2003/10/20
Vol.47  労働局の使命

労働局のH-1b規則違反関連のいろいろな統計数が過去一年間、記録的なハイペースとなっており、苦情件数、調査件数、決定件数および未払いとされた賃金の額など全ての数字が、過去最高のレベルとなりました。1991年に労働局WHD(Wageand Hour Division)がH-1b関連規則遵守の任務に当たることになって以来の数字です。労働局が違反取締りを強化した結果、ペナルティーとして1-3年、時にはそれ以上にわたるH-1Bビザ停止、雇用ベースの移民、非移民ビザへのスポンサー行為の禁止が課せられることもあります。

労働局の取り締まりは、今後の数年間、一層厳しくなるものと考えられます。というのも景気の停滞が長引いている状況下、レイオフされた労働者、外人労働者からの苦情が溜まりに溜まっている現状があるからです。競争力及び労働力向上法により、労働局はごく限られたケース以外自発的に調査を始めることを許されていませんが、他の政府機関(たとえば移民局や国務省管轄である領事館など)は、H-1B規則違反により被害を受ける当事者として、苦情を申し立てる権利を持っています。

このようにH-1B規則違反が厳しく取り締まられる状況となっているので、雇用企業はパブリックアクセスファイルや、保管を必要とされる書類について自発的にチェックを行うことが必要です。さもないとWHDからの調査により致命的な打撃を受けることになりかねません。
レベル1 VS レベル2
労働局の悪名高き「一般的賃金」(Prevailing Wage)システム、特にレベル1とレベル2のケースが法廷に持ち込まれるケースが多くなっています。「一般的賃金」はH-1B及びグリーンカードの労働認可に必要な賃金を決定するのに重要な役割を果たしています。

以下は、最近の判例から引用した文章の一部です;

「教会の音楽監督の賃金を、オーケストラの指揮者、商業音楽の指揮者や作曲家の賃金と一緒に論じるのは、いささか馬鹿げていると言わざるを得ない、特にこのケースのように同じ地域にハリウッドのエンターテインメント産業があるような場合には特にそれを強く感じさせられる。もちろん教会の中にも音楽監督に非常に高い資質を求めるところがあるのは承知しているが、常識的に考えるなら、教会の参集者(特にこの申請の場合には子供が大部分)に音楽を教える程度の音楽監督の技術を、高度なプロフェッショナルの技術と同じと考えるわけにはいかない。ところがSOC-OESの調査システムはこれを同じグループに一括しているのである。」

このようにいろいろなカテゴリーをまとめてしまうSOC-OESのシステムは調査をする側にとっては確かに安上がりではあります(何しろ調査する職業の数が少なくて済むのだから…)が、しかし結果としては、同じグループに入れられた、ある職業にとってはその賃金は高すぎることになるし、別の職業にとっては低すぎることになってしまうのは当然のことです。結局、「一般的な賃金」システムは、あまりに広い範囲を一括してしまっているために不正確なものと言わざるを得ないのです。
社会保障の問題
社会保障管理局(SSA)は最近、社会保障ナンバーの発行について若干の変更を実施しました。SSAは、US市民、合法的永住権保持者、永久労働許可保持者及び就労ビザ保持者に対しカードを付与しています。これまで、SSAは、運転免許証を取得するためなど、「就労のためでない」社会保障ナンバーを発行していました。しかし、変更後の規則では、「就労のためでない」ナンバーは、連邦または州の規則により社会保障ナンバーを持つことを要求される外国人だけに付与されることとなりました。社会保障ナンバーを申請する12歳以上の個人は全て個人面接を受けなければならないことになりました。こんなに若い年齢から面接を義務付けることになったのは、欺瞞行為による社会保障ナンバーの取得を防ぐ目的があります。SSAは、子供たちも年少の時点から社会保障の恩典を受ける必要があり、また所得の申告をする必要があることがその理由であると説明しています。

さらに、身元の確認のためには、その人物の経歴及び身体上の情報を提出しなければなりません。SSAは、欺瞞行為を防ぐため、出生証明だけでは充分でないとしています。申請者は身元を確定するため、過去の治療歴や学校の滞在証明などを提出する必要があります。一方、外国人は、移民ビザを申請するに当たって社会保障ナンバーを要求することが出来ます。申請書類DS-230を記入するときに、申請者は、33a及び33bに答えることになっているが、33aは申請者がSSAに対し、社会保障ナンバーを付与し、カードを支給するよう要求することが出来ることになっています。
社会保障カード上に、「雇用上の目的には有効でない」と記入されている場合で、移民局がが労働許可を認可した場合はどうすれば良いのだろうか?移民局が申請者に労働許可を与えた場合は、申請者はカードの更新(「雇用上の目的には有効でない」との記述を削除)を申請する必要があります。カードの更新を申請するには、申請書類SS-5に記入します。この書類はhttp://socialsecurity.gov/online/ss-5.htmlからダウンロードが可能です。また、1-800-772-1213に電話するか、その地方の社会保障事務所を訪ねるかしてSS-5を入手することも出来ます。申請者はSS-5に身元確認の書類及び移民局からの労働許可を添付します。

外国人学生が働く場合は、社会保障の費用を払う必要があるだろうか?合衆国を期間限定で訪問する非移民ビザ保持者の労働は、社会保障でカバーされておらず、従って社会保険料を支払う必要はありません。F-1, J-1及びM-1ビザ保持者が、その勉学や訪問目的を遂行するために行う労働も社会保障でカバーされていません。上記の労働による賃金は、社会保障及びメディケアを徴収されてません。こういった労働は、一般的に言って、学園キャンパス内の仕事、実習(practical training)や経済的困難救済の仕事に限られます。社会保障関連の問い合わせは1-800-772-1213を利用できます。該当する事務所を探したり、社会保障ナンバーについて詳細な情報を知りたい場合は、SSAのホームページwww.socialsecurity.cov が便利です。
弁護士 デビッド・シンデル
http://www.swlgpc.com/