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2003/04/07
Vol.34  自分で会社を設立してビザを取得することができると聞きましたが、本当でしょうか?

新規に会社を設立して、それに基づき非移民ビザを取得するということは簡単ではありませんが、可能な手段です。以下にその方法を幾つか述べますが、必ずしもこの通りになると断言できるものではないことを初めにお断りしておきます。

さて、この手続きを選択するに際して、以下のことを事前にお伝えしておきたいと思います。それは、アメリカに滞在するためのビザを取得することを主な目的として、この煩雑な手続きを選択すべきでないということです。アメリカで会社を設立してそれを運営していくということは大変なことです。ビザというものは、その滞在目的が存在しつづけなければならないものです。もし仮にビザが取得できたとしても、設立した会社は求められる一定の機能を維持し、ビザ取得者もその職務を遂行し、一定額以上の給与を得ていなければならないという制約があります。ですから、この方法でビザを申請するには十分な資金とアイデア、顧客、バックグラウンドなどが必要です。それらを持っていない限り、この選択肢は望ましいものではありません。
1. 会社設立
まず初めに、会社が設立されることが必要です。アメリカにはいろいろな形態の法人がありますが、その中でもCorporation(株式会社)かLimited Liability Corporation(通常は有限会社と訳されます、税制面などで有利なことがあります)を、営業を予定している州に設立することをお薦めします。殆どの場合、株式会社は2週間以内に設立することができます。そこで必要になるのが、会社を設立しようとしている州に「住所」を所有していることです。しかし、会社の事務所として賃貸契約をするには会社が設立されている事を前提としている大家さんも多いので、どっちが先か堂々巡りとなることもあります。このような場合、メーリングアドレスを貸し出している業者を利用したりオフィスをシェアするなどの方法でまず会社を設立し、その後事務所の賃貸契約を行なえば良いでしょう。会社設立後はEmployer Identification Number(EIN)を取得する必要があります。EINを取得するには、申請者自身がソーシャルセキュリティーナンバーかIndividual Taxpayer Identification Number(ITIN)のどちらかを保有していなければなりません。EINを取得した後に、会社名義の銀行口座を開設します。会社を作るということはそれほど難しいことではありませんが、その後のビザの申請条件を満たすように設立しておかないと二度手間になり、時間も費用も余計にかかりますので、その仕組みなどについて信頼できる弁護士のアドバイスを受けることをお薦めします。またビザ申請や入国審査の際に、会社が十分な給与をビザ取得者に支払えることを証明できるよう、十分な資本金を投下しておくこともお薦めできることです。
2. オフィススペース
新会社は物理的に事務所が存在しなければなりません。多くの人から、ホームオフィス、すなわち自宅を事務所とすることが可能かどうか質問を受けます。その答えは「可能」ですが、そのホームオフィスが合法的に事務所として使われるのであれば可能という意味です。その合法性を証明する手段として、申請者は地主からその建物が事務所として使用できる旨の契約を証明する書類を受け取り、提出する必要があります。アパートの一室をオフィスとすることに関して、規制があるわけではありませんが、違法な営業やペーパーカンパニーではないかと疑われがちです。移民局は事務所の写真の提出を求めてくることも少なくありません。
3. ビジネスプラン
新設会社は高度なビジネスプランを有していなければなりません。そのプランには会社の機構、ビジネスアイデア、顧客、市場、向う3年のキャッシュフロー計画などが含まれている必要があります。その他に、もしあれば有益なものとして、新規設立する会社と共にビジネスをしたいという別の企業との覚え書きや、銀行による残高証明、もし親会社が存在するならその親会社の決算書などが挙げられます。
Eビザについて
このビザで主な要件となるのは、会社がアメリカに対して十分な「投資」あるいは「貿易」を行っていることと、会社と申請者の国籍、ビザを取得する本人が管理職、または専門知識を必要とする仕事に就ける能力を有することです。申請の際はその投資、貿易の実態を証明しなければなりません。投資や貿易の金額について明確な規定はありませんが、その業種において十分と考えられる数値が求められます。申請者がすでに別のビザでアメリカに滞在している場合、BCIS(移民局)に対してEビザの申請をして他のビザからのステータス変更をします。過去のデータから見れば、この方法は日本のアメリカ大使館に対して申請を行うよりも比較的容易にビザが取得できる傾向にあります。しかし、もしステータス変更が受け入れられたとしても、パスポートにあるビザスタンプの変更はされませんので、一旦アメリカを出国し、再度アメリカに入国するためには、日本に戻ってビザスタンプの発行を受けなければなりません。これは面倒な手続きとなることでしょう。もし、投資や貿易がEビザの条件を満たしているのであれば、このビザは大変便利なビザです。Eビザは5年単位で発行され、会社と本人が条件を満たしている限りいつまででも更新することができるからです。
Lビザについて
このビザも好ましい方法です。なぜならLビザを取得する際には、Eビザのように多額の投資、貿易の実態は問われないばかりか、取得までにかかる日数も短くて済みます。Lビザを申請する場合、新規に設立される会社は、外国の他の会社によって所有されていたり、またはその逆でなければなりません。つまり、新設する会社と外国の会社が、いずれかの会社の株式を半分以上所有するなどし、コントロールしたりされたりする親子関係や関連会社である必要があります。申請者はアメリカに入国する前の3年のうち最低1年間その関連会社の会社などで働いている必要があります。新会社設立後1年未満でLビザを申請する場合、初めは1年間のビザとなります。その後Lビザを延長するのには、会社がLビザの条件を満たしている事はもちろんですが、Lビザ取得者も管理職や専門職として勤務し続けている事も必要です。例えば管理職としてLビザを取得したものの、事業が計画通り進まず、従業員を予定どおり雇用することが出来無かったとします。延長申請の際に部下がいなければ管理職は成り立ちませんので、延長申請が認められないかもしれません。
H-1bビザについて
このビザもまた一つの選択肢として考えられます。H-1bビザを取得するためには、新規に設立される会社が専門職ポストを有しており、そのポストにH-1bビザ申請者を配置しなければならないという状況下である必要があります。申請者は4年生大学以上の学位か、学位と同等な職務経験を有していなければならず、申請する職務内容も学位や経験と密接に関連したものでなければなりません。H-1bビザは3年単位で発行されます。一般的なイメージとは異なり、H-1bビザは新規設立された会社であっても発行されます。そして申請者はその会社の役員や株主を兼ねていてもかまわないのです。ですが、もちろん申請の際に全ての資料を明らかにする必要はあります。新規に設立した会社でH-1bビザを申請する場合、会社がH-1bに基づいた専門職を必要とする程の業務を行う事を証明する必要がでてきます。この点からも、詳細なビジネスプランが強く求められるのです。

結論として、新会社を設立して就労ビザを取得する事は可能な手段ですが、事業そのものがしっかりとしていないとビザの取得も延長も困難なものとなります。
弁護士・デビッド・シンデル
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