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2013/12/17
Vol.284  外国人実業家のH-1B申請について - その1

米国では歴史上、外国人実業家が、新規企業の開拓と成功に関し、非常に重要な役割を担ってきました。しかし、近年の米国移民法は、ビジネスをアメリカで起業しようと志す外国人事業者を快く受け入れておらず、2010年に公表された覚書が示す通り、厳しい移民法規制の対象となっています。

米国移民法上、ビザステータスを申請する外国人就労者の中には、ビザをスポンサーしている雇用主(会社)の所有者である場合も多くみられます。H-1Bカテゴリーの申請基準の中では特に、この経済的な現実に対しての米国移民法政策の矛盾が顕著 にみられます。

外国人就労者がH-1Bステータスを取得するためには、雇用会社のスポンサーが必要です。近年、H-1Bを申請する外国人就労者が、スポンサー会社の所有者でもある場合、H-1B申請が非常に難しくなってきました。

2010年1月8日に米国移民局のNeufeld氏 が公表した覚書(Neufeld Memo)により、H-1Bを申請する外国人就労者が、スポンサー会社の所有者でもある場合、H−1Bビザの申請基準が更に厳しくなりました。この覚書の中には、これまでのH-1B申請基準を厳格化した審査基準が説明されています。

この覚書の中で、米国移民局は、H-1B就労者とビザスポンサーとなる雇用者との労使関係(employee-employer realationship)の審査基準について言及しています。その中で、H−1Bビザ認可のためには、 労使関係の立証の必要性、また、雇用者がH-1B就労者の雇用に関する事柄の決定権を保有していることを立証する必要性があることを明言しています。

これらの立証が難しいケースがまさに実業家が会社を設立するシナリオです。覚書内にて説明されている移民局の見解はきわめて厳しい指針であり、H-1B就労者がビザスポンサー会社の主要株主(所有者)でもあるケースでは、雇用者とH−1B就労者が同一と見なされ、そこに労使関係が成り立たないと解釈される事から、雇用者側が会社の所有者でもあるH−1B就労者の雇用に関する決定権を持っていると証明するのはきわめて難しいのが現状です。

経済が低迷する中、アメリカ政府は、外国人実業家の米国進出を妨げているとの批判を受け、その状況に対する解決法の一つを公表しました。2011年8月に米国移民局が発表した、質疑応答形式の覚書上でこの解決法について説明されていますが、外国人実業家がH-1Bを利用し続ける可能性に光が灯るような内容でした。この書面上で、移民局は、H-1B申請者がスポンサー会社の主要株主である場合でも、なんらかの外部監査が存在し、H-1B申請者の雇用に関する裁断権を会社の所有者以外が有することを証明できれば、労使関係(employee-employer relationship)が存在することを認めるという姿勢を示しています。

次回へ続く。
弁護士 デビッド・シンデル
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