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2011/09/20
Vol.230  I-9フォームに関する新しいヘルプシステム

皆様の中にはご存知の方もいらっしゃるでしょうが、I-9とは雇用主が労働者を雇用する際に米国市民かそうでないかに関わらず雇用主によって作成・保管されなければならない一枚の雇用資格確認フォームのことを言います。I-9の主な目的は1986年11月6日以降に雇われた全従業員の就労資格と身元確認です。雇用主は指定された確認書類リストを基に就労資格と身元確認を雇用の際、必ず行わなければなりません。移民改革規制法により、全ての雇用主に対して義務付けられ、違反があった場合には罰金や刑事罰があります。このI-9は監査請求がない限り移民局や労働局に提出する必要はない一方で、雇用主には管理、規則に則った一定期間の保管義務があります。
ただその一枚の紙の記入方法及び管理に関しては複雑な点が多く、インストラクション通りに実施しようとしても解釈が分かれることもあり、結局専門家に適切な管理について依頼することで、雇用主にとってはコストのかかるものでもあります。
そのI-9管理に関し、最近移民局は2011年春を目処に雇用主が適切にI-9管理を行えるよう、それを補助するI-9 Centralと呼ばれる新しいウェブサイトは立ち上げる予定です。I-9 CentralはどのようにI-9フォームを記入し、またどのように管理するべきかについての詳細なインストラクションです。その背景として、現在、多くの雇用主が、そのI-9フォームの記入及び管理を正しく行っておらず、またその管理担当社員へのトレーニングや準備についても余り重要視していないようです。そのため、ここ数年、移民局はI-9記入及び管理方法について様々な解説メモやM-274 I-9ハンドブックと呼ばれる現在では69ページにも及ぶマニュアルを提供してきました。ただそれら解説メモやマニュアルが雇用主の手助けとなってきた一方で、雇用主にとっては大きな負担となっているこのI-9管理に対し、よりシンプルで分かりやすいオンラインヘルプシステムが求められてきたのも事実です。今回のこの移民局による対応には大きな期待を持ちたいと思います。
このI-9 Centralによるサービスに加えて、移民局は更に、現在移民局のウェブサイト上でダウンロードできるPDF版のI-9フォームとその解説書についても便利な機能を加える予定で、その機能としてヘルプテキスト、ドロップダウン・ボックス、またその他良く間違いが起こる項目に対して同様の間違いを未然に防ぐ双方向性の特別機能などが加えられる予定です。この計画については正式な施行日をいつにするかまだ明確にはなっていませんが、まずは移民局は実験的にシステムを開始し、雇用者や弁護士事務所など利用者に対してその利便性を確認することになるでしょう。
移民局はそのI-9フォーム一枚の管理の複雑さに理解を示している一方で、会社への強制監査及び調査の姿勢に緩みは無く、一旦監査となれば、監査対象となった会社のI-9管理状況を詳しく確認し、正しく管理されていない場合は、罰金刑や刑事罰を課す可能性があります。この春からのこの便利なシステムに大きく期待しますが、企業側にとっては、少なくとも現時点でさえ可能な限り正しくI-9管理を行うことはこれまでと変わることなく大変重要です。いつ自分の会社が監査対象となるか分かりません。
弁護士 デビッド・シンデル
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