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2010/08/17
Vol.204  CBP (税関国境警備局)によるカナダとの国境警備体制は適切か その3

前回に引き続き、カナダとの国境付近における最近の政府による国境警備の実態について、Seattlepi.comからの抜粋を基に興味深い記事の内容を紹介いたします。

前回までは、北の国境の警備強化の正当性について述べましたが、実際に逮捕された人のうち、どれほどの人がテロに関わっているのでしょうか。テロに関わる人物の検挙率について、その数は告訴数75,000件以上に対し、僅か2件という驚くべきデータがあります。このことに関し、ニューヨークのBrenner弁護士は、結果として刑事犯罪につながらない且つ社会に対して脅威とならない単なる不法移民の取締りに対し、政府が莫大な資金と人員を投入していることにどれ程の価値があるのか、その価値に対して疑問を投げかけています。そのような状況の中、数ある移民支援団体のうち、現在の国境警備に対し法的責任を求めている団体も現れてきています。

このような現状に対して国境警備局は反論しており、あくまでも国境警備の仕事はあらゆるアメリカへの不法侵入を防ぐことであると主張しています。しかし匿名のある国境警備局員の話では、捕らえられる人の多くは最近アメリカに不法侵入しているわけではなく、数年も前にアメリカに入国し、アメリカ国内を旅している人であり、その人達に対する逮捕ケースが殆どだということです。更に当匿名警備局員は、全不法移民者を捕らえるという施策は、非常にばかげており、現在実施していることは“イミグレーション・ダンプスター・ダイビング”、つまり移民のゴミ箱あさりである、とも語りました。

しかし一方で、そのような活動の中、年間を通して1件だけでもテロリストまたはテロに関与している人物を捕らえることができれば、それは十分な仕事に値するという意見があるのも事実です。

今日の北の国境警備強化の要因は9.11同時多発テロなど様々ですが、1999年に起こった事件もその一つです。1999年のある日、Ahmed Ressen容疑者はBritish Columbiaからトラックと共に船に乗り、ロサンゼルス空港を爆破しようと、そのトラックに爆発物を満載していたところPort Angelesにおける通関検査によってその行為が見つかり、身柄が拘束されました。この事件は、その内容及び規模から重要な事件として位置づけされていますが、先述のような国境警備によって見つけ出されたものではなく、通常の通関権検査によって見つけ出された、というのが皮肉にも事実です。

(次回へ続く)
弁護士 デビッド・シンデル
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