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2010/07/20
Vol.202  CBP (税関国境警備局)によるカナダとの国境警備体制は適切か その1

カナダとの国境付近における最近の政府による国境警備の実態について、最近Seattlepi.comに興味深い記事が掲載されましたので概要を事例を3回のシリーズに分けて紹介いたします。

まずニューヨークアップステートで実際に起こった事例ですが、2人の国境警備員が突然、公共バスに乗り込んできて、全ての乗客に対して国籍の確認と身分証明書の提示を求めてきたそうです。その際、警備員の連れた犬が一つのナップサックの前で吠え、その持ち主である中国系難民の人は恐怖に怯えていたということです。実際ナップサックの中にはマリファナの葉巻が入っており、その人はそのまま身柄を拘束されたそうです。

今日の国境警備局員はカナダとの国境警備を様々な形で強化しているのですが、ニューヨークに限らず、バーモントやモンタナ、ワシントン州など、実際カナダとの国境から100マイルにおいてテロリストを捕らえるための警備体制がとられています。

しかし最近報告されたHearst Newspaperによる公共向けデータによると、莫大な国境警備資金と警備員の増員にも関わらず、捕らえるのはテロリストやその関係者ではなく、殆どが、いわゆる一般的な不法移民だということです。これら実態については様々な意見があるのですが、関係者の中には9.11同時多発テロ以降、誤った形で実施されている反テロリズム政策と移民法施行の混乱の産物とも言える、と述べる人もいます。

そのような中、CBPはここ5年でその国境警備に関わる予算が2倍になり、2009年においてはその予算額は$11 Billionにも及びます。9.11同時多発テロ以前はカナダとの国境から5,000マイルを僅か340人の国境警備局員にて監視していましたが、現在ではその数は1,530人にまで増えました。

9.11同時多発テロを受け、メキシコとの国境よりもカナダとの国境からより多くのテロリスト侵入の可能性が高いというCBPやFBIの見解に基づき、アメリカ政府は穴だらけのカナダとの国境に眼を向けてきました。しかしニューヨーク・バッファロー地区の国境警備を担当しているある職員によると、この無限大に広がる国土での完全な国境警備はある意味チャレンジで、どのような国境警備を行えば国の安全を守ることができるのでしょうか。そのようなことは無理である“と語っています。

更にFBI(連邦捜査局)のニューヨーク・アルバニー地区の担当で、現在モントリオールから南400マイルを監視している特別捜査官は、テロに関連する情報収集に携わる職員の増員とそれら情報の共有そのものが9.11同時多発テロ以降の国境安全に貢献してきている、と語っています。つまり国境付近の安全、強いてはアメリカの安全は国境警備そのものではなく、未然の情報収集によるものということを示唆しているのです。

(次回に続く)
弁護士 デビッド・シンデル
http://www.swlgpc.com/