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2010/04/20
Vol.196  移民局による会社査察に対して備えておくべきこと

その2
前回に引き続き、最近広く実施されている移民局による突然の会社査察について解説します。早速ですが主にH-1Bスポンサー会社に対して実施されている移民局による会社査察に対して会社はどのような備えをしておくべきでしょうか。

まず重要なことは、会社の規模に関わらず、全ての会社はH-1Bパブリックアクセスファイル(“PAF”)など必要とされる保管書類を首尾よく備えておくことです。会社として適切な賃金を支払っているという証拠を揃えるなど、適切な準備ができるかという問題はさておいて、H-1B従業員を抱える会社はオリジナルの認可されたLCA(H-1B申請に必要な労働条件申請書で会社内での掲載日の情報を別途含むもの)、どのようにH-1B申請上の賃金額が決定されたかの覚書き、また関連する平均賃金額データ表のコピーなど必要とされる書類をパブリックアクセスファイルとして保管しなければなりません。更にH-1B保持者として雇用していた従業員が会社事情また個人事情に関わらず退社した場合、適時に移民局にその旨を通達した証拠も保管しておく必要があります。またH-1B就労期限より前に会社都合で解雇となった場合、そのH-1B従業員が最後に滞在していた国への帰国費用を会社が負担したかどうかも証拠として保管しておく必要があります。

今回のこの会社査察に関する移民局の取り組みは、実際に移民局に提出されたH-1B申請書に記載された通りその従業員がスポンサー会社で就労しているか、また記載通りの就労を行っているかを査察する民間査察員の雇用も含まれています。

最近、私達はそのような査察の報告を受けているのですが、最近の一つの事例を基に、実際どのようなやり取りがあったかを簡単に紹介します。

まず査察員は何の前触れも無く突然オフィスを訪れてきたそうです。そしてある特定のH-1B従業員に関する情報を得たいと尋ねたそうです。査察員(女性)はそれら査察を行うために契約雇用された査察員であることを告げ、彼女は写真付きのバッジを身に着けていたそうです。

彼女は最初、査察対象となった会社の人事担当者に会い、会社について、そのビジネスタイプ、全従業員数、就労時間、会社の住所等、基本的質問をしたそうです。更に彼女は何名のH-1B従業員がいるか、また従業員の何名に対して永住権のスポンサーとなり、更に現在何名の永住権保持者が従業員として雇用されているかを尋ねました。基本的事項とは言え、その人事担当者は即答は困難だったということです。その人事担当者は正確な数を彼女に伝えるために従業員リストの確認を申し出たそうですが、彼女はおおよその数の報告でも構わない旨を伝えたそうです。そして彼女はその特定のH-1B従業員について、その職務内容、給与額、就労時間、雇用開始日等、いくつか質問を行ったそうです。更に彼女はその受け答えをした人事担当官が誰なのかを確認するためにIDの提示を求め、更にその特定のH-1B従業員のW-2フォームまたは給与明細の提示を求めたそうです。実際その人事担当社はどちらも手元に無かったそうで、会社の最新の給与登録フォームを見せたところ、彼女は納得したそうです。その後、彼女は実際にその特定のH-1B従業員と数分間質疑応答を行ったそうで、そのH-1B従業員からの報告によると彼女はその従業員の職務内容、就労時間、給与明細について尋ね、更にIDも確認したそうです。最後のそのやり取りの後、彼女はオフィスを歩いて周り、数枚写真を撮り、オフィスを去ったということです。

(次回に続く)
弁護士 デビッド・シンデル
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