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2009/12/15
Vol.189  H-1B, L-1申請に関する最新の動き、改革法案について =その3=

前回に引き続き、上院議員のGrassley氏、及びDurbin氏により提出されたDurbin-Grassley 法案について続きを詳しく紹介いたします。
* 労働局は一切のクレーム報告無しに企業を監査・調査開始できる権限が与えられます。この権限はすでに国土安全保障省は持っているのですが、仮に申請に詐欺が見つかった場合、現存する強制捜査権限が労働局にも与えられることになります。
* 労働局はH-1B、L-1申請に関し、詐欺申請がないか確認する権限が与えられるでしょう。このことにより移民局、ICE、労働局がそれぞれの基準に基づいて平行して全ての申請書類を確認することを意味します。よって会社のコンプライアンスがより複雑化するでしょう。
* 労働局による調査期限が、申し立てられた違反日から数えて12ヶ月から24ヶ月まで延長されるでしょう。国土安全保障省主導の調査特別委員会は、既に過去5年間に行われた司法妨害、偽造、郵送詐欺、文書偽造など雇用に関するあらゆる違反に対してより厳格に訴追しています。
* 労働局に対しH-1BやL-1にて外国人を雇用している全ての企業に対してランダム監査(無作為に監査対象の企業を選び監査・調査を実施すること)を行う権限が与えられるでしょう。国土安全保障省主導の調査特別委員会は既にこれを実施しており、労働局やその他連邦機関ともデータを共有し始めています。
* 労働局はH-1B労働者を多く雇用している企業に対して年一回の監査・調査を行うことになるでしょう。国土安全保障省と労働局はH-1BやL-1にて従業員を雇用している全企業の少なくとも1%に対し、そして100人以上の従業員を抱え、そのうちH-1B、L-1従業員の数が全体の15%を超える企業に対し、年一回の監査・調査を行うことになるでしょう。仮にそのような年一回の監査・調査に直面するとすれば、多くのグローバル企業はアメリカ国外でのビジネスを検討し、アメリカ国内の工場やオフィス、その他ビジネスに必要な施設を閉鎖することになるかもしれません。
これに伴い、国土安全保障省の秘書官は更に次のようなコメントを付け加えております。
“法施行の見地から、私の最優先事項はH-1B申請において一切の詐欺行為がないことを確信することです。ここ一ヶ月にわたって我々は幾つかの策を追加で講じてきました。我々は詐欺防止策を追加し、更に、これまでH-1Bでは使用されてはこなかった例えば会社訪問など、より標準的な調査技術を開始しました。我々はこのプログラムの目的が達成されることを確信するまでこれら策を続けていく予定です。”
オバマ大統領は先日実施されたプライムタイムニュースでの会議において次のように述べました。“アメリカ人がアメリカ国境がしっかりと守られていると感じていない状況下で、既にアメリカに滞在している不法滞在者に対し影の存在から脱却させアメリカ市民権取得への道を開くことは難しい。なぜならば一般的にアメリカ人は毎年何十万人もの不法侵入者を抱えていると感じているためです。”
最後に皮肉なことにこの非移民ビザ申請に対する厳しい改革法案は、新規H-1B申請が例年と異なり、年間上限に到達しない状況下で提出されたと言うことです。2009年7月10日現在、移民局は通常枠6万5千件に対して4万4900千件しか受け付けておりません。移民局は引き続き申請を受け付けることにしておりますが、過去2年、新規H-1Bは受付開始初日に年間発給上限数に到達し、正式な受領者を決定するランダムセレクション(無作為の抽選)が実施されました。
今後当法案に対してどのような動きになるか注目ですが、これはあくまでも法案であり、法制化された法律ではありません。現時点ではこれまでと申請条件、及び申請過程に変更はありません。
弁護士 デビッド・シンデル
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