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2009/12/01
Vol.188  H-1B, L-1申請に関する最新の動き、改革法案について =その2=

今回は上院議員のGrassley氏、及びDurbin氏により提出されたDurbin-Grassley 法案について2回に分けて詳しく紹介いたします。繰り返しますが提出された当法案は非移民ビザを通しての雇用プロセスを根本的に変えるものとなり、特にH-1BやL-1での雇用を考えている企業にとっては大きな負荷となることが予想され、結果希望の外国人を雇えないという事態も大いに考えられます。
* H-1Bでの雇用を行う全ての企業はまずH-1Bポジションに対して雇用条件を満たすアメリカ人に対して誠意ある求人活動(“good-faith” recruitment efforts)を必要とする。これは雇用を基にした永住権申請において必要とされているPERM申請に求めらる求人活動に近く企業にとっては膨大な法的、そしてコンプライアンス上のコスト増が予想されます。
* 企業は雇用条件を満たすアメリカ人労働者に変わってH-1BやL-1労働者を雇用することが禁止される。当法案ではH-1B及びL-1労働者を雇用する前後において同様のポジションで雇用されているアメリカ人労働者の解雇を禁止する期間を2倍の前後6ヶ月ずつとするでしょう。特に突然に予期しない企業合併やリストラがある場合、企業にとっては大変困難な状態となるため将来的にも大きな重荷となるでしょう。
* 企業は会社内の全従業員のうち半分以上がH-1B保持者、L-1保持者であれば、追加でH-1B、L-1を申請することが禁止されるでしょう。これはアメリカ国内でビジネスを行っている外国企業にとってアメリカ国内での雇用数に上限が設けられ、少なくとも会社の全従業員の半分は地元のアメリカ市民の雇用が必要となることを意味します。世界貿易機関(WTO)の関税および貿易に関する一般協定(GATT)に触れる可能性があることから、法制化されればアメリカ国外へ進出しているアメリカ企業もまた外国政府により同様の報復措置を取られることも予想されます。
* H-1Bの賃金を決定する方法が大きく変わるでしょう。企業はエントリーレベルの給与支払いができなくなる可能性があり、それが仮に同様に雇用条件を満たすアメリカ人労働者に支払われている金額と同額としても認められないでしょう。
* 現在H-1B申請に課せられている平均賃金の支払い基準が同様の形で全てのL-1労働者に対しても課せられるでしょう。元来、L-1労働者を雇用する会社は多国籍企業として、支払いや福利厚生に関して自国における社内基準を設けていることもあり、L-1企業内転勤者はH-1Bに適用されているこの平均賃金支払い基準の適用から除外されています。もしこれが法制化されればL-1企業内転勤者もまた米国労働局の管理下となる始めてのケースとなるでしょう。従って多国籍企業にとってはアメリカでのビジネスの縮小という要因の一つになりかねません。
* 企業はまず最初に労働局から何らかのウェーバーを得ない限り、派遣先など別会社の敷地にH-1BまたL-1労働者を赴任させることが禁止されるでしょう。更にビザスポンサー会社や派遣先などのクライアント企業はビザによる赴任の前後6ヶ月ずつの間、同様のポジションに対して雇用条件を満たすアメリカ人の解雇が禁止されるでしょう。
* 労働局は自社及び派遣先を含む自社外など、全ての赴任場所でのH-1B、L-1雇用に関し、スポンサー企業が完全な雇用管理を行わないということであれば、ウェーバーを保留するでしょう。移民局は既にそのような条件に基づいて審査していますが、このことで労働局もまた同様の権限を持つことになり、完全な雇用管理がないということであれば、申請を却下することも考えられます。
(次回に続く)
弁護士 デビッド・シンデル
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