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2009/06/03
Vol.177  オバマ政権誕生後の移民法政策はどうなるか ―その2-

前回に引き続き、オバマ新大統領の移民法対策について紹介致します。前回、オバマ政権の下でもブッシュ政権同様、移民法関連の企業への法施行が厳しく行われることを紹介しました。特に農業、建設、食品加工、ホスピタリティー、レストラン、そして織物業者をはじめ、国家安全に関わる米軍関連機関、空港、港、原子力発電所、水処理施設のようなアメリカのインフラシステム関連業者に対して引き続き厳しい対応が予想されます。

そのような状況の下、それら業界に限らず一般企業においても十分な移民法対策、つまりコンプライアンスは整えておくべきで、中でも国土安全保障省(DHS)は政府の新プログラムであるE-VerifyやIMAGEプログラムへの参加を推奨しています。これらプログラムは人材採用に対して不法移民をなくすことを1つの目的としているもので、連邦政府関連事業受託業者はE-Verifyプログラムへの参加が必要であるなど、そのプログラム参加企業は30万社に近づくと期待されています。そのシステムの完全性及び企業からの参加登録を確保するためにDHSは企業参加に対して綿密な追加調査を集中して行う必要があるでしょう。E-Verifyプログラムへの参加登録を確保する際、省庁間での更なる連携そして州レベルでの更なる取り組みが考えられます。例えば連邦契約承認企画室(OFCCP)は既に連邦政府関連事業受託業者に対する現地での監査を実施していおり、E-Verifyへの参加登録確認が企業コンプライアンスのためのチェック項目として簡単に追加することができます。同様に一定もしくは全企業に対するE-Verifyプログラムへの参加を義務化するというDHSと州との間に交わされる共同同意を通してもまた連邦政府が厳しくE-Verifyシステムを取り締まる要因となります。

移民法改革はそのように賛否両論の問題ではありますが、議会が予測可能な将来のために何らかの包括的移民法改革法を施行することはないでしょう。代わりに私達は緊急で重要な移民法問題に対してのみ法律導入を期待するに過ぎず、その数は決して多くないでしょう。

議会には包括的移民法改革施行が期待されてないため、今後更に多くの州が独自に不法移民を取り締まる動きに出る事も考えられます。一旦連邦関連事業受託業者にE-Verify参加を義務化すれば、より多くの州が州関連事業受託業者に対してもE-Verify参加を義務化するでしょう。

このような状況で、良識的な企業はまずI-9管理を徹底することでしょう。殆どの政府調査はI-9コンプライアンスの監査から始まります。もし監査対象の企業コンプライアンスレベルが良好であれば法施行の可能性は根本的に減ります。逆に企業コンプライアンスレベルが著しく悪ければDHSまたICEはその企業が故意に就労資格のない従業員を雇用していると想定するでしょう。従って、企業においては良好にコンプライアンス計画を作成し実行することを強く薦めます。なぜならそれらコンプライアンス計画の存在また実施そのものがICEによる調査や罰金の軽減に繋がる重要な手段となるからです。

このようにオバマ政権誕生後も政府は企業の移民法関連コンプライアンスへの取り組みに対して目を光らせ続けます。今一度、企業コンプライアンスを見直すことが大切でしょう。
弁護士 デビッド・シンデル
http://www.swlgpc.com/