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2003/03/03
vol.19  同時多発テロが与える影響

●同時多発テロがアメリカ移民制度に与える影響
同時多発テロ事件の影響による、安全対策の強化や、度重なる国内・国際交通機関の麻痺が各メディアによって伝えられています。こういった流れを汲んで、米国へ入国する外国人への取調べも一層厳しいものとなってきているようです。

永住権保持者に対する入国審査さえも、この安全対策強化の適用外では無いようです。移民法学会への報告によれば、現在、永住権保持者は、身元証明書として、グリーンカード(alien resident cards)の他に、少なくとも1つの、証拠書類を提示するよう求められています。アメリカに入国する場合、永住権保持者は、グリーンカードの他に、写真付きの身分証明書をすくなくとも1つ、できれば2つ、更に永住権の保持を証明するための関連書類を、審査官に提示できるようにして審査に臨まれると良いでしょう。

就労ビザで、アメリカへ入国される方も、身分を証明する書類と、就労ビザでの入国を認める書類を必ず携帯するようにしましょう。これまでは、有効期限内の就労ビザスタンプの貼られたパスポートと、移民局からの就労ビザ許可証の2点を提示すれば、入国できていましたが、今後は、スポンサー企業からのレターも携帯したほうが賢明でしょう。このレターには、あなたを、企業側が雇用する意図があること、どのようなポジションで雇用するのか、などを明記しておくとよいでしょう。学生や、短期商用ビザ(B-1)で入国される場合にも、同様に、身分を証明書する書類と、米国入国の目的が合法的なものであることを証明できる書類を携帯するようにしましょう。
●移民局をはじめとする各審査機関への影響
今回のテロ事件の容疑者の多くが、非移民ビザや永住権などのステータスで米国内に居住していたことが判明しています。中でも、テロ事件容疑者の多くが、学生ビザ(F-1,M-1,J-1)や研修生ビザ(H-3,J-1)などの非移民ビザを使用していた疑いが強く、こういったカテゴリーでのビザ申請に対しては、今後、特に厳しい審査が行われると予測されています。

また、9月11日のテロ事件発生以前から、移民局は全国規模でビザ発給業務の監査を行うと発表していました。このような業務監査の間は、通常の審査業務は、縮小されるため、審査期間が伸びることになります。業務監査の結果を懸念したためか、移民局側は、既にビザ申請料を引き上げる法案を提出しており、恐らく2002年1月からビザ申請料が引き上げられるだろうと考えられています。ですから、ビザ申請をお考えのUS企業や、労働者とその家族の方々は、今後、労働ビザや他の移民関連の申請を行う際には、審査期間の大幅な遅れを考慮して、事業・生活の計画を立てなければなりません。

すでに労働ビザで就労中の方が、期間延長申請、EADと呼ばれる就労許可証(Employment Authorization Documents)申請、再入国許可証申請、職務内容や就労地域の変更申請、企業の組織変更に伴う移民関連の各種変更手続きなどを行う場合にも、審査期間の伸びが懸念されています。したがって、このような申請を行わなければならない可能性のある方は、出来るだけ早く申請を行うか否かを検討し、関係当局に速達で申請書を提出されることをお薦め致します。

移民局は、今年からPremium Processing Serviceと呼ばれる特急審査制度を開始しましたが、この方法を使うと、1000ドルの申請料金を追加すれば、15日以内で移民局の審査を受けることができます。ですから、利用できる場合には、この申請方法を活用されると良いでしょう。

観光旅行者に対しても、空港での税関審査の強化のみならず、移民局による入国審査も厳しくなります。審査官は、身分証明書や、入国資格に関して、厳密な審査を行うでしょうから、入国審査に要する時間も当然長くなることでしょう。移民法学会への報告によれば、移民局は、最も厳密な審査を要する国としておよそ40~50カ国を指定国と定めたようです。日本や西ヨーロッパ諸国の大半は、この指定国には含まれていません。しかしながら、テロリストは、世界各国にその活動拠点を設けているという事実から、彼らが「厳密な審査」を免れるために、非指定国のパスポートを偽造し、アメリカへの入国を試みる可能性も高いと考えられています。従って、移民局側は、当然、指定国のパスポート保持者でなくとも、厳密な審査をおこなうことになるでしょう。

入国審査を受ける方は、場合によっては、別室に呼ばれての2次審査、FBIデータとの照合、全身の身体検査、携帯書類の複写請求、審査課程の撮影などを求められるでしょう。また、外国人には、国内の飛行機の搭乗手続きにおいても、パスポート、出入国カード(I-94)、移民局からのビザ申請許可証(I-797)などの書類の提示が求められています。アメリカへの入国だけでなく、国内旅行であっても、書類の携帯を心がけてください。

下院移民政策委員会によって開催された10月11日の「入国管理と情報テクノロジーに関する公聴会」において、Ziglar移民局長官は、9月11日の同時多発テロ事件に関与したハイジャック犯達のビザステータスを公開しました。

19人のハイジャック犯のうち、10人は合法的にアメリカに入国・滞在していました。3人は合法的にアメリカに入国しましたが、オーバーステイしたため、ステータス違反でした。残り6人の入国経路は不明で、政府側は、この6名についての情報を全く所有していないとのことです。

この発表に対して、アメリカ社会がどのように反応するか未だ不明ではありますが、今後の移民政策における審査の厳格化は免れないでしょう。
弁護士・デビッド・シンデル
http://www.swlgpc.com/