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2009/01/06
Vol.167  新しいビザ規制に関する季節労働者を雇う雇用主に対する影響

最近、米国移民局のビザ審査の厳しさが目に付きます。その一つの例として季節労働者に対して与えられるH-2Bビザも例外ではありません。そこで今回は先日発行されたウォールストリート・ジャーナル紙の記事を基に現状をお伝えしたいと思います。
御存知の通り、日本人の多くも申請するH-1Bは申請受付早々に上限に到達し、昨年同様今年も抽選となりました。抽選に漏れた人の中には、実際の仕事が季節労働に該当すると言うことでH-2B申請を試みようとした方もいるかもしれません。
このH-2Bビザですが、夏の時期、外国からの季節労働者に頼っているアメリカ企業は労働者不足の問題に深刻に取り組んでいます。その理由としてH-2Bビザ(農業以外に携わる季節労働者に発行されるビザ)に対する規制がより厳しくなっているからです。
ウォールストリート・ジャーナル紙によればスキー業界は既にその影響を受けており、以下、造園ビジネス、ホテル、レストランビジネスが今では大きな影響を受けています。モンタナ州のイエローストーン国立公園付近のBest Western Innsを夫と共に経営しているAnna Spalings氏は毎年夏に、H2-Bプログラムを利用して12人以上のハウスキーパーを雇っています。しかし、今年の夏はこのプログラムを利用してハウスキーパーを雇うことができなかったそうです。夏は彼らの稼ぎ時であり、もし誰も雇うことができなくなれば、部屋を掃除することができず、宿泊客を部屋に通すことができないことを意味します。
2007年度に最も多くのH-2B労働者を雇った分野とその数:
1.造園、運動場管理 69,200
2.メイド、ハウスキーパー 24,387
3.建築工事 17,697
4.林業 11,496
5.溶接業 10,110
注:毎年度末は9月30日。情報:Foreign Labor Certification Date Center
アメリカ合衆国は1年間に66,000件のH-2Bビザを発行し、その半分は秋と冬、残りの半分は春と夏にあてられます。しかし、ここ数年で連邦議会はアメリカに再び戻ってくる季節労働者に関しては年間上限枠から除外されていました。しかし今年はその処置の延長を求める努力にも関わらず、9月30日にはその措置は失効することになりそうです。連邦議会がそれ対する何ならかの処置を施す可能性も窮めて低い状況です。しかも夏用の上限枠は1月にその上限に達してしまいました。更に2009年度の秋冬用33,000件(2008年10月1日~2009年3月31日)についても2008年7月29日をもって早々に締切りとなり、締切日に到着した書類についてはH-1B同様抽選が実施されました。このことからH-2Bを基に新規で2009年3月31日以前に米国で季節労働するための申請を行うことは出来なくなったというわけです(延長申請など一部上限対象外あり)。
更にウォールストリート・ジャーナル紙によればThe Professional Landcare Network(バージニア州、ハーンドンの貿易グループ)は小規模の造園会社は今年の労働者不足の影響で業界として約3百万ドルの損失を予測しております。 一方で、この問題に対して大げさに取り上げるべきではないとの意見もでていると言うことです。The left-leaning Economic Policy Institute(ワシントン州のシンクタンク) の副理事長である、Ross Eisenbrey氏は適切な給料を支払えば、この国で造園のための労働者を見つけられない場所はない、と主張しています。
更にEisenbrey氏は移民労働者不足の影響で企業はアメリカ人労働者を雇うことになり、それは10代の失業者や弱体しているアメリカの労働者市場にとっては良い事でもあると述べております。しかし、多くの雇用主がアメリカ人労働者を見つけることが困難であると言い、実際に彼らはH-2Bビザプログラムの資格を得るためには事前にアメリカ人労働者が見つけられないことを証明することになっています。
Jennifer Fraser氏(34歳)と彼女の夫は、毎年夏、様々なイベントにあわせて、カリフォルニア州内を点々とし、バーベキュー、照り焼き、コーンドッグなどの食べ物を売店で販売しています。彼女曰く、アメリカ人労働者はこのような長い時間と移動を要する厳しい仕事に興味を持っていない、と言います。従って彼らは毎年約9人のH-2B労働者を雇っている、と言います。
今後益々移民局の対応及び方針が厳しくなる中、外国人を採用する雇用主は不景気対策と共に、この外国人採用に必要なビザ問題についてもこれまで以上に真剣に考えていく必要があるでしょう。
弁護士 デビッド・シンデル
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