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2003/03/03
vol.11  労働許可申請を復活させるには?

もしも、あなたが、不運にも、RIR申請をするチャンスを逃してしまった方ならば、今回の記事を注意深くお読みください。RIRを使わずに、通常の方法で労働許可を申請したが何年待っても、進展が無いという方。今、あなたには、その申請の審査期間を短縮させるためのチャンスが与えられています。 2001年8月6日、労働局は、通常の労働許可申請を行った労働者が、その申請日(priority date*1)を維持したままで、RIR申請に転換することを認める、という新規則を発表しました。この新規則によって、2001年8月3日以前に提出された労働許可申請について、RIRへの転換が認められることになりました。
まず、「RIR」をご存知無い方の為に、その背景と申請方法を簡単に説明したいと思います。雇用に基づく永住権申請は、労動局より労働許可を取得、移民局へ移民ビザ申請、最終面接という三段階のプロセスを経ます。申請数の増加や財源不足などの原因から、労働局は深刻な残務問題を抱えてきましたが、これが審査期間の長期化を招いてきました。従来、労働許可申請には、①州の職業安定局(SESA)②連邦労働局、の2段階の審査がおこなわれてきました。まず、SESAが申請書類に不備がないか、適切な平均賃金の支払が提示されているか等を確認し、
必要があれば修正を要求、無ければ求人用の"Job Order"を発行します。その後、雇用主側は、SESAの指示に従って求人活動を行って、その職種に適任のUS労働者がいないかどうかを審査します。SESAの審査が終わると、その申請は連邦労働局へ転送され更に細かい内容審査を受けます。会計年度96年末、審査の効率化を図るために"リダクションインリクルートメント"(RIR)という新たな申請方法が提示されました。RIRでは雇用主が「申請前に行われた求人活動の十分な証拠」を提出し人材不足(適任のUS労働者がいないこと)を証明すれば、SESA審査の段階で更に求人活動を行う必要がないため、審査期間が大幅に短縮されるのです。

労働局の発表した新規則の前文によれば、雇用主が、旧申請をRIR申請に転換するためには、転換請求前の6ヶ月間に行った真正な求人活動の証拠を提出しなければならないとしています。

また、この新規則は、「SESAがjob orderを出すまでの間、雇用主はRIR転換請求を行うことができる」としています。従って、job orderが発行される前であれば、たとえSESAが、雇用主に申請書類の修正要求をしてきた場合などであっても、RIR転換請求できます。また、まれに、全く求人活動を行わずに連邦労働局へ廻される場合があります。新規則の前文によれば、このような場合であっても連邦労働局の審査官が再審査の為に、SESAに申請を差し戻したならば、RIRへの転換請求ができます。ただし、この場合も、最初の労働許可申請が2001年8月3日以前に提出されたものでなければなりません。

また、労働局は、通常の労働許可申請プロセスが、何年間もかかるものであることを考慮し、「RIRへの転換請求を行う際に、職務内容・給与などに少々変更があっても良い」としています。しかし、最初の申請と同一の申請であると労働局が見なすことができないような大きな変更があれば、転換申請は認められず、新たな申請として、新たなPriority Dateで、SESAに提出しなければならなくなります。また、労働局側は、RIR申請に認められやすい特定の申請・職業などは特になく、また、逆にRIR申請に適さない職業などを特定することはできないとしており、様々な職種へのRIR適用可能性を示唆しています。

この新しい転換申請に関する規定が実際どのように運用されていくのかはまだ不明です。全国のSESAでは、現在、245i条の影響で、2001年4月30日までに押し寄せた大量の申請書の山を抱えています。この申請書の山は、まだ封も切られずに保管されているといった状況ですから、最初の申請自体を把握していない段階で、RIRへの転換申請システムが動き出すとは思えません。また、今後は、労働局の運営資金の多くが、RIR審査や、RIR転換申請の審査に廻されることになりますので、それ以外の通常申請は、さらなる審査期間の遅れを強いられることになるでしょう。

*1 [Priority Date]
年間発行数が決まっている移民ビザの申請では先着順にビザが認可される仕組みになっていますが、Priority Dateとはその優先順位を決める基準日のことです。雇用ベースの申請では、州労働局(SESA)が労働許可申請を受理した日付がそれにあたります。
弁護士・デビッド・シンデル
http://www.swlgpc.com/