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「好き」を続ける秘訣は柔軟性にある



     パーソナルネットワーク
     主任 中田恒夫さん


2000年、日立製作所から研究開発チームの一員として、テキサス州、日立USAへ転勤。 数年同研究所にいる予定を返上し、1年後にはLucent Technologies Bell Labs Innovations (以下Lucent Technologies)へ。「これまでに11名のノーベル賞受賞者を輩出してきた 『最先端』をひた走る、通信の名門に挑戦してみたかったから」と中田恒夫さんは言う。 そして2002年12月には日本へ帰国。NEC Laboratories 中央研究所で、中田さんの新たな 研究活動を始動させた。


−研究職一筋


慶応義塾大学・大学院と、理工学研究科でレーザーの研究を続けていた。卒業後も継続して 「研究を続けたい」という思いから日立製作所の研究員となる。中田さんは研究職の面白さを「誰もやっていない事を 創作するという爽快感があります」と語る。2001年から勤務したLucent Technologiesでは 「障害復旧用クロスコネクトシステム」の研究開発に取り組む。社内に日本人は1人だけという マイノリティな環境の中でもうまく溶け込み、静かに、しかし着々と研究を続けていった。 今年2003年には研究の成果が形になり、論文"Multi-Event Algorithms and Protocols for Fast and Robust Distributed Mesh Provisioning and Restoration"がBell Labs Technical Journalの3-4月号で発表される予定だ。

−そして転機は訪れる


近年アメリカの投資家は一斉に、テレコム関連の企業への投資を打ち切った。そのためLucent Technologies では、 2000年6月にいた15万5千人の社員を2003年現在、3万5千人に絞るという、大幅な人員削減を強行せざるを得なくなる。 残念ながら中田さんはそのうちの1人となってしまったわけだが、しかし、それは悲嘆に暮れるような原因にはなら なかったのだろう、「アメリカのテレコミュニケーションは、これから更に衰退しますが、これから盛んになる 日本に帰れる、いいチャンスかと思って帰る決心をしました」と語る。自分の「やりたい事」を見つめ、それができる 場所へと移動する。いつでも必要とあれば、自由に動く柔軟性があった。

−やりがいを求めて決めた次のステージ


実際、求職中は「あらゆる研究所にレジュメをおくり、できるだけ多く面接を受けた」という。その結果NECラボラトリーズ 中央研究所に転職する事を最終的に決めた最大の理由は「自分の好きな研究を自由にやらせてくれる会社だと感じたから」だ。 現在は「次世代システムのインフラ側はどうあるべきか考えたり、試作品を作り実験してみたり、アイデアを出して特許を出す のがミッション」だという。今、研究所の主任として常に仕事に対する目的意識をもち、達成しようとする仕事への 意気込みと熱意が感じられた。

−仕事への「思い」は生活の中に


そんな中田さんの夢は、「幸せな家庭を持つとか、小市民的なことなんですよ。余談ながら、ベートーヴェンの夢は家庭を 持つことだったし、マイケル・ジャクソンが心底求めたのは親の愛情だった。私も、夢だけは大物と同じ」という。 「Success Orientedな思考回路」に偏らず、「人間的な生活からしか、創造的なエネルギーは生まれない」という信念が感じられる。 過去の技術者達が思い描いていた「夢の世界」は、この現代に実現した。その豊かさの中にいて、 私たちの現代に足りないものは「せっかく得た豊かさ、この当たり前のように衣食住できるという、実はありがたい社会を 今の人々が楽しまないこと」だと感じているという。それでは目指してやってきた人々は報われない、今仕事をする人々も、 心底やりがいを感じるのは難しい。故に中田さんが今一番やりたいことは率先して生活を楽しむこと。それには、そこから 生まれる必要性や創造性を技術者として発見したい、という積極的な思いが含まれているのかもしれない。


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